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C-22 「北国の伝統野菜」

報告:西尾 淳

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 札幌市農政部長の三部さんから北海道における農業の始まり、そして北海道関連の味の箱舟(通称:アルカ)における「札幌黄」「札幌大球」「まさかりカボチャ」に関する来歴、特性、歴史的価値を説明した。また、その後、各生産者の大萱生さん、高田さん、鈴木さんとのトークショーを行い、三部さんの司会進行のなか、生産や産地の現状、それぞれの作目の強みと弱みなどを語っていただいた。時間帯も良く、テーブルの後方で立ち見もあり、想像以上の人が熱心に耳を傾けていた。トーク後、北海道関連アルカ5品の試食もふるまい、視覚・聴覚・味覚・嗅覚、そして実物展示も含めた触覚の5感で感じてもらったと思う。また、札幌大球の重量当てクイズの発表も駆け足で行った。それぞれ北海道の気候風土や貯蔵に適した野菜として北海道に定着した歴史があるが、どれも収量、貯蔵性、品質、病気や規格等の課題により残念ながら作付面積が減っているようであった。一方で、生産者からは先代、先々代より守ってきた種を守りたいとの話があり、お金ではなく使命感にも似た「思い」を強く感じた。興味深かったのが、札幌黄について試験場での結果や生産者自身の経験でも、水害や干ばつなど天候不良の年などではF1品種と比べ、札幌黄の方が収量が良いとの話で、まさに在来種の利点、多様性が求められる理由が経験から語られたものであった。また、味の箱舟の登録やファンクラブなどで品名が定着してくると、後継者なども集まりやすいとの話があり、改めて味の箱舟の活動の意義を確認できた良い機会であった。

プログラム詳細

C-22 「北国の伝統野菜」