報告:西尾 淳
札幌市農政部長の三部さんから未来アルカとして、今後味の箱舟に登録していきたい品目として、ラワンブキ、函館赤カブなどについて説明を伺ったうえで、スローフードジャパンの味の箱舟プロジェクト委員長の黒川さん、スローフード・フレンズ北海道の代表 湯浅さん及び会員で生産者である川合さんを交えて語っていただいた。
対話の中では、「味の箱舟はスローフードの世界では中心的活動であり、地域が大事にしている味・文化を残していくことが大事」とする一方、味の箱舟登録により特産化したい行政側の動きが、本来原木植えであったものを、接ぎ木での大量生産・効率化につながってしまった例を挙げ、「ビジネス要素が強くなってしまわないようにも配慮しなければならない」といった話もあり、その品質維持についても課題があるとされた。その解決方法の一つがプレシディオの登録との話があった。また、味の箱舟に登録することよりも、むしろ申込む時の姿勢と生産者等との繋がりを大事にしたいとの話があり、このつながりの有無が登録後の活動が続いているものといないものとの違いに表れているとのことであった。
そのほか、大学との研究の中で、日本人は味の表現が乏しく、もっと五感を活かした味わい教育を進めていく必要があることも語られた。そういう意味では消費者はもとより、生産者、特に子供に対する味覚教育が大事とのこと。最後に、小さい生産者や食を大事にするレストランを大事にすること、生産者も学者でもスポーツ選手であっても、その食を支えているのは自分たちだという誇りをもって取り組むこと、行政と協働していくことも必要との話もあり、結びに今日のような場を増やしていくべきと語られた。