報告:三浦 康幸
丘の濃い緑に黄金色の甘夏が揺れ、遠くには水俣湾の群青と眩いきらめき。気候よく、人穏やか。海の幸・山の幸に恵まれたスローフードの桃源郷のようなこの街を、あの水俣病が襲いました。
「ないものねだりから、あるもの探しへ」地域に住む人々のつま先が外に向いていた頃、水俣で「あるもの探し」が始まりました。普段そこに住む者には当たり前すぎて気がつかなかった地域に「あるもの」地域の人々が共にあるもの探しをしていく中で、そこにあるものは、脈々と受け継がれてきた先人達の知恵と暮らしが凝縮した素晴らしいものなのだと気づいていく。地元の者(土)が主体となり、外の目(風)を借りながら、当たり前にあるものの凄さに気づくこと。足元を一緒に調べ、考える。考えるだけでなく、地域独自の生活文化を日常的に創り出していく。現代が忘れている人間が生きていく基本形がそこにあります。幸せな暮らしを未来へ紡いでいけるよう。世界の一人一人がほんの少し変わるだけで、その実現は大きく近づく。「他人様は変えられないから自分が変わるようにした」
天野さんを通して語られる水俣病の語り部の言葉が胸にしみる素晴らしいワークショップでした。