開催報告一覧

B-1 「100年後の地域を見すえて」

スローフードしむかっぷ リーダー 山本 敬介

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 占冠大会は平日メインの開催という日程になったが、この大会が地域にとってエポックメイキングな意味を持つことを皆が理解していたので、恐るるに足らずであった。
 占冠大会のテーマは「源流から海へ」。これは20年以上前からコミュニティで取り組んできた活動の積み重ねから、自然と浮かび上がってきた地域の未来を示す指標のようなもの。一級河川「鵡川」は、村内奥トマムの源流から流れ出て我々地域住民を様々な形で潤し、実に135kmを下ってむかわ町の太平洋に出る。そして、その水は太陽の熱で温められて雲や雨や雪となり、また源流部に戻ってくる。この大きな水の循環を守ること、それは100年後もこの地域で幸せに暮らしていくために、私達ができることだ。
 今回のテッラ・マードレのプログラムは、そのすべてがこの目的に沿うものだった。川の人工構造物落差工の問題、そして福島と水俣という環境事故を決して忘れず、若者とともに未来を語ること。また、日本の原文化であるアイヌの「イオマンテ」から、森に感謝し森と共に生きる精神を学び、アイヌの伝統音楽と現代音楽との融合を試みた。土地に根付いた画家からは地域芸術の示唆をもらった。朝の散歩や猟師体験では、実際に皆で森の中に足を踏み入れもした。
 そして、地域をあらためて見つめ直すための交流の宴。食卓に並んだ源流から海までの様々な食材を、原生林のシルエットに囲まれて共に食べることは、まさに大地や森や海と共にある「テッラ・マードレ時空間」となった。
 現在、占冠はまた静けさを取り戻している。テッラ・マードレで得たエネルギーを地域の中で燃やしながら、未来に向けて出来ることを少しずつ、これからも試みていきたいと思う。もちろん仲良く、そしておいしく。

プログラム詳細

B-1 開会挨拶